粋な兄さんの話
〜人生の目標に出会った〜



これは私が高校生の時の話です。
当時私はバイク生活一色でした、月曜日〜土曜日はランド坂と緑山へ 
そして日曜日は大垂水峠へと まー ガソリンがいくらあっても足りないくらいの生活でした。 
その日も朝から大垂水峠にいっていました 夜になり そろそろ学校の事も考えて帰ることにしました。
通常は車の多い甲州街道(国道20号線)は避けて 高尾山の入り口前を通り鎌倉街道にぬけていました。 
しかしその日は午前0時近くだったので甲州街道で帰ってみることにしました。 

深夜の甲州街道はペースがまるで異なり 湾岸や第三京浜なみのスピードで流れていました  
もちろん私もかっ飛んで走っていましたが・・・・・・突然「ウィ〜ンッ!!」と
エンジンストール!! 
私はすぐに気がつきました
「やべ!燃料切れだ」 確かその日は2回給油した覚えがあります。
帰るちょっと前にリザーバのコックをひねった記憶がよみがえってきました 仕方が無いので車がビュンビュン通るなか左に寄せました。
するとどうでしょう いままで抜いてきた単車軍団が「バカな飛ばしやがエンストだぜ!」と言わんばかりに
次々と横をとおりすぎていきました。私は とほほ・・・・と思いながら とぼとぼとガソリンスタンドが見えてくるのを待っていました。
時間は11時30分くらいだと思いますが その日にかぎってガソリンスタンドがやっていません。
なんでだ〜??
しかしもうちょっといけば国立府中インター入り口だからスタンドもあるに違いないと思いがんばっていました
 しかし歩けど歩けどガソリンスタンドはおろか インターすら見えてきません。 
あ〜普段この辺は飛ばしながら走るから すぐ近くに感じたのかな〜」って反省しながら歩いていました。   
道路沿いにホンダプリモがあったので工場の人にガソリン分けて下さいとお願いしたら 断られました。     
普段は乗ることしかしない250ccのバイクはとても重〜く感じました。 
そのうちだんだん心細くなってきて『早くお家にかえりたいなー』って マジで小声でつぶやいた記憶があります。   
そんな時 10メートル程先で
白いライトバンが停車しました。 
私は
「う・・・やな予感」と思って路地に入る準備をしました 
ライトバンからは夜だというのに
サングラスをしたアイパー男が出てきました
そして
「よー兄ちゃんどうした? パンクか?」と見た目とは全然違う優しい言葉で話し
掛けてきました。アイパー男は30代も半ばと思われる どう見ても
”渡世人”といった感じでした。
私=「ガスケツで〜」  
アイパー男=「それで押してんのか?」  
私=「はい」  
アイパー男=「今日は何ヶ月かに一回の組合会議の日だから5件に1件くらいしか営業してないぞ〜」 

私は まじで?  そんなもんがあるのかよ!と思いながら 「本当ですか?」と聞くと男は「本当もホントよ!!わっはっは〜」  
すると男は 私に向って言いました「よし、兄ちゃんちょっとまってろよ。」と言い車に向っていきました 
私は「ラッキー予備のガソリンでもあるんだ〜」と思った瞬間、 まさか・・・・
リッター1万円なんて言うんじゃねーだろうな〜  
と!思ったとたん 
ライトバンはビューンと 走っていってしまいました。 私は「ってどこいくねん!」
しかも唖然・・・・・ なんだよ 冷やかしかよ! 予備ガソリンもなしかよ!      

また、とぼとぼと歩き続けて10分くらいたったでしょうか? あ〜あ〜学校間に合うまで帰れるかな〜と思いながら歩いていると 
なんとさっきのライトバンがまたまた私の横で止まりました げ〜今度はなんだ〜と思いました 
アイパー男はリヤのハッチバックを開けながら私に言いました。
「お〜い ガソリン持って来たぞ〜!!」  私はびっくりしました   
アイパー男の右手に青いポリ容器に入ったガソリンが見えました そして私に差し出しました  
驚いた私は なんて優しい人もいるもんだとおもい お礼を言いました。 
「おじさんお金いくらでしたか?」と聞くと 
『あと1km.2kmいったら出光があるからそこで ポリ容器返しておけよ。 それ借り物だからな。』
私はわざわざ戻ってきてくれてまでガソリンを買ってきてくれた男が親友のような気がしてなりませんでした 
せめてお礼にと思い お金を渡そうとしたら 男はそそくさと車の方に向っていってしまいました。
私は心をこめて何度もお礼をいいつづけました  
男はドアに手をかけながら

『いいんだよ いいんだよ 困った時はお互い様だからよ!。 
    そのかわり 俺がガスケツで止まってたら その時は助けてくれよな!!』


と言い残して ライトバンはビューんと走っていってしまいました。 お〜粋なおやじだぁ〜!! 

私は足取りも軽く単車にまたがり走り始めました。   
2km程走ったでしょうか 出光が見えてきました  
私はガソリンスタンドの店員にポリ容器を差し出しながら おいくらですか?と 聞きました。 
店員は 薄笑いをしながら『あ〜ガスケツのバイクの人だね、お金なら もらったからいらないよ。』と言うではありませんか!!

私は粋なオヤジに心の底から感動しました。
あの見た目は暴力団風の男は ガソリンを買ってきて しかも届にきてくれたのです。
粋だね〜  私は帰りがけに心に決めました。 
見た目はともかく 俺も あーいう大人になるぜ!!

以後 私は”困っている時はお互い様”という言葉が
特別な意味を内に秘めた 目標になりました。


そして現在、私は事故やトラブルで止まっている車をみると 必ず手助けをしています。  
あのときの深夜に出会った”いきな男”への恩返しのつもりで・・・・・     

そして助けられた人達は 同じように 助け合っていくに違いないのですから。




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