記憶喪失の話
〜それは生命の危機〜



 
これは私が小学1年生の時の話です。
当時私は多摩川という雄大な川のすぐそばに住んでいました したがって遊び場所も多くは多摩川だったのです
当然の事ながら釣りは日常生活に溶け込んでいました  身近な人間で釣りをしない人はいないくらいでした
ある日 5歳離れた兄と「大物伝説」がある陸橋の橋げたに下りる計画をしました。 

問題が2つあったのです   
1)電車がこない時間にいかなければ大事になりますしかしその陸橋は流れの速い川ですから線路を
  走っていって下に下りていく方法しかなかったのです  
2)高さ3メートルのコンクリートの壁をどうやっておりるのか?  
  もちろんハシゴや降りる手段はありません。
      
当時 兄はボーイスカウトに入隊していたのでボーイご用達のロープを持っていました。
「これで降りれば完璧だぜ!」 私も完璧だと思いました(その時は・・・)  
日曜日(たしか夕方だったと記憶に有ります) 2人で線路の上を走り 
「3本目の土台が見えたら降りる」と頭の中に叩き込んで 必死で走りました        

余談ですが、走っているときに電車を急停車させて問題になった話を沢山聞いたことがあります 
一説には罰金とか警察ざたとか言われていましたので めったに土台に行く人はいなかったのです。

まくら木が木で出来ていて独特の茶色をしていたのを 覚えています。  
兄が先に走り始めました ずいぶん長い間走っていた記憶があります  兄が急に下に折り始めました 私は
「あ!あそこだ!」 と思い急いであとを追いかけました。   陸橋保全用の足場に入り 兄がロープを
結びはじめました。 結んでいる所を見ていたのを覚えています 兄は「よし!完璧! いけ!」 と
私に命令しました。 その時の怖さは一生涯で一番でした(今だ あれ以上怖いと思ったことはありません)  
着地予定広さは50センチ程度の幅で土台を一周しているだけの広さしかありません。 
しかし私は「怖い」と口に出して言えませんでした なぜなら 怖いなどといったら兄にその場(保全用足場)に
置いていかれるに決まっていますから・・・・     私はロープを握り足を投げ出しました・・・・   ( 空白の時間 )
 
 気が付くと 兄が横で釣りをしていました 
兄:「おー起きたか!」 
弟:「あれれ?」 

兄は私にむかって言いました 「死んだのかと思ったぞ! いや〜ロープが緩んでさぁ〜」
そうです 私はあの3メートルの高さから
転落したのです。  
帰りがけに兄に聞いたのですが 「お前起きた時に「なんでここに居るの?ここどこ?」なんて
言うからびっくりしたぜ!」 正直言って私のほうがびっくりしました。  

兄:「でも呼吸してたし血もでてなかったからな〜」 兄いわく20分くらい 横になったまま
だったそうです しかも起きてからは記憶喪失状態・・・・・   
その時 兄と一緒に釣りをしたかどうかは覚えていません。 

家に帰り 兄が父親にしかられているのを見て もしかして”陸橋渡ったのがバレタのかな?”とおもいましたが 
記憶喪失の件で しかられていたのです。  

翌日 私は学校を休み母親と病院にいきました  兄の証言によると
”頭から落ちた”
そうです  その時初めて頭から落ちたのを知りました。  検査の結果 なんの異常もありませんでした。  
その夜 またまた兄が怒られていました ”結び方が甘かったのか? なぜすぐに助けを呼ばなかったのか?
”などでした  今考えると 陸橋を渡ったことは 一言もいってなかったのが不思議です。           

あの事故から20年以上たっていますが5年程まえに 兄と二人で出かけました 
私はあの時の事を思い出していました しかし兄には話せませんでした。  
実はその時も 何か命にかかわるような大変な出来事が起こるのではないかと 
ちょっぴり心配だったのです。 

    教訓 災害・事故が起こったときは 人名第一で!!




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